Stillness within.
近代ヨーガの父と言われるティルマライ・クリシュナマチャリア。
現在、世界に広まっている、アーサナ(体位法)を主とするほとんどのヨガと名がつくものの元は、彼がヒマラヤで学び人々に伝えたヨーガといわれています。
BKSアイアンガー氏や、アシュタンガヨガのパタビジョイス氏も彼の弟子たちでした。
にもかかわらず、彼の名を知る人はそう多くはありません。
しかし、様々なスタイルのヨガ(ほとんどがアーサナのクラス)を経験したあとにそれらの原点、Sriクリシュナマチャリアが伝えてくださった教えにたどり着いてみると、そこには、置き去りにされてしまった途方もなく奥深い叡智が満ちていました。
ヨーガの道は、自らの存在を知り、解脱ヘと導く科学的なシステムなのです。
私たちのグル、T.クリシュナマチャリアの伝統には、パタンジャリのヨーガ・スートラの教えへの誠実さが根底にあります。
彼が教えた内容を歪めることなくそのまま伝ているインドの学校クリシュナマチャリア・ヨーガ・マンディラムの先生たちは、その気質を受け継いで、厳しさの中に深い愛を示してくれています。
アーサナは決して派手ではなく、とても基本なものを忠実に誠実に繰り返し練習します。
そして、常に、呼吸が動きをリードし呼吸とともにあります。
自身の内側に気づき続け、ヤマ・二ヤマ(ヨーガ八支則の最初の2つ)を体現するような
そのアーサナは、まるで祈りのように美しい。
そして、何よりも、パタンジャリのヨーガスートラを徹底的に学び自身で経験すること。
そこから決して離れることはありません。
チャクラやクンダリーニといったものや儀式にあえて特段の意味を持たせず、非常にクリーンで明晰です。
TK(私たちは親しみを込めて師クリシュナマチャリアをTKと呼びます)は、その偉大な功績にもかかわらず、生涯、自分は生徒であると言い続け、自らが学び伝えたヨーガに名前はつけませんでした。
ヨーガはヨーガなのです。
その謙虚さは深い尊敬と信頼の念を抱かせてくれ、また、TKの言葉はシンプルながらもヨーガの本質を伝えてくれています。
”Yoga is a process of replacing old patterns with new and more appropriate patterns.”
ヨーガは、古いパターンを、新しく、よりその人にあったパターンへと変化させる
プロセスです。
”Regulate the breath,
be happy,
link the mind with the lord in your heart.”
呼吸を統御しなさい。
しあわせでありなさい。
ハートの中で、あなたの心と大いなるものをつなぎなさい。
”Inhale, and God approaches you.
Hold the inhalation, and God remains with you.
Exhale, and you approach God.
Hold the exhalation, and surrender to God.”
息を吸うとき、大いなるものが、あなたに近づきます。
その息を保つとき、大いなるものが、あなたの中にとどまります。
息を吐くとき、あなたは、大いなるものに近づいてゆきます。
その息を保つとき、大いなるものに身をまかせなさい。
”Master your breath,
let the self be in bliss,
contemplate on the sublime within you.”
呼吸をマスターしなさい。
自身を至福のなかへ。
あなた自身のなかにある崇高さを深く見つめなさい。
”Rid your body of its impurities,
let your speech be true and sweet,
feel friendship for the world,
and with humility seek wealth and knowledge.”
からだの不浄をとりのぞきなさい。
優しさとともに真実を話しなさい。
世界に友情を。
謙虚さをもって豊かさと叡智を探求しなさい。
”Nowadays, the practice of yoga stops with just asanas.
Very few even attempt dharana and dhyana (deeper meditation) with seriousness.
There is a need to search once and reestablish the practice and value of yoga in modern times.”
現代においては、ヨガの訓練はアーサナ(体位法)だけにとどまってしまっている。
ほんのわずかな者だけが、ダーラナ(集中)とディヤーナ(瞑想)を真剣に試みているにすぎない。今、必要なのは、ヨーガの価値を再認識し、確立していくことです。
- Tirumalai Krishnamacharya ティルマライ・クリシュナマチャリア
Sri Tirumalai Krishnamacharya
(1888-1989)